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「『伊賀の親御さんは被害届も検討してるらしい』って聞かされて動揺してたらしいよ。進路や将来にも関係するし、そりゃ青くもなるでしょ。向こうは『悪意なんかない』んだから」
「結局、本人たちは大したことだと捉えてないんだよね。『好き』が免罪符になるとしか考えてない」
私の言葉に、桃子は大きく頷いて同意する。
「そう! まさしくそうなのよ! そいつら形だけ謝っては来たんだよ、騒ぎになったから仕方なくね。『そんなつもりじゃなかった。そこまで嫌だなんて知らなかった』とかって。あたしはずっと嫌だって言ってたのに」
我が意を得たり、って感じの桃子の高揚が伝わった。よくわかるよ。
「あー、仁科たちもそうなんだろうな。散々『やめろ、嫌いだ』って口にも態度にも出してんのに。ほんっと冗談じゃないっての!」
人目を気にして曖昧な言動を取らなかったのは正解だった、と改めて感じる。でもこれからも、今まで以上にはっきり拒絶しないと。
仁科の都合のいい解釈が入る隙もないくらいに。
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