題材ゲームのこと

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題材ゲームのこと

 未だ稚拙なアウトプットと内容にも関わらず、皆様に温かく接していただけて大変嬉しく思っております。本当にありがとうございます。  こんなものを書くことすら(おこ)がましいとは存じますが、いただいた言葉へのお礼やよもやま話しを書き連ねる場所はないものか、と考えて、そういえばスター特典というのも使って見たい、そんな気まぐれで書き始めていました。でもそこまでする意義も、需要もないだろう、そう思い、別途挙げることにしました。正直、続くかどうかはわかりません。基本的に気分屋で、ものぐさではあるので、生温かくご覧いただけると泣いて喜びます。  メイジニアスのゲームシステム部分についての話しは、実はかなり昔、約二十年前くらいまで(さかのぼ)ります。  当時在籍していた会社は、S社との繋がりが強く、MMORの開発経験のある当社と、R社が入って割と大きめなプロジェクトが動き始めました。  その当時はまだ企画がマップ班、バトル班、システム班、シナリオ班……などという、細かく作業が分化されておらず、企画書作成、スクリプト作成やデータ作成、仮デザインやエフェクト作成も含め、全般を雑多に作業するのが普通でした。  企画概要書と、各種仕様書を作成するにあたっては、私と若い後輩二人がかなり突っ走って、ゲームシステム全体のルールブックをガリガリ書いていました。一部をプリントアウトするとA4コピー用紙一束がすぐに尽きましたので、あまり頻繁に印刷はできません。とはいえ、後輩とあーだこーだいいながら仕様の細部を決めて行くのは楽しい作業で勢いは止まりませんでした。仕様を追加し、補足と修正を繰り返すことで分量は日に日に肥大化していきます。  特にキャラクタシステムは実装可否は抜きにして、二人でさまざまなアイディアをぶっ込んで行きました。装備や部位破壊の概念、よく調べずに腐った食べ物を食べるとお腹を下す(移動不可になるとか)とか、視覚や聴覚、嗅覚など五感の概念や、寿命なんかも盛り込んでいました。  味覚能力が低いと、マズい食べ物でもキャラクタは拒否反応は起こさず、気にせず食べ、たとえ腐っていても満腹感を得られます(お腹を壊しますが)。出自が高貴なキャラクタは、装備や所持資産、能力値や技能習得の面で有利ですが、味覚能力値が高く、マズい食事では満腹感はあまり得られず、嫌いなものを食べると気力低下などの状態異常が起こります。  嗅覚能力は有毒ガスや危険な気体への警戒能力として機能し、異臭に気づくことで毒ガスの充満した部屋からすぐに脱出して命を落とさずに済みます。ただ鼻が効きすぎると、匂いのきつい香水で鼻が効かなくなったり、下水道などでの活動に色々と不調が起こりやすくなります。  毒の種別と効果、解毒方法なども事細かに決め、この辺も含め、多岐に渡る技能や感情(正気度的なもの)は、ケイオシアム社の『クトゥルフの呼び声』のシステムが多分に影響を及ぼしていました。  キャラクタシステムは大まかに  ・種族(種族特性)  ・出自(資産、コネクション)  ・能力値  ・職能(アーキタイプ)  ・性別(能力値補正)  ・年齢(初期習得技能ポイント量)  ・技能の習得 これらが基本構成要素です。  装備や呪文はある程度雛形となるものはすぐに手に入り、使用できます。これらをカスタマイズし、各種物品の生成や錬成、各種技や術式は要素と素材をかけ合わせることでプレイヤーが作成を行えるようになっていました。効果範囲、効果量、効果対象、消費するリソースなども細かく作ることができます。アーキタイプという耳慣れないシステム概念は、『Archetype』という言葉で、ゲーム内では技能習得時の職能タイプの区分としています。意味的には原型や元型というものらしく、ユングとかが盛んに使っていましたが、心理学的なことではなく、技能のカテゴリという意味で用いています。これも『クトゥルフの呼び声』の影響ですね。探偵、科学者、ディレッタント、弁護士……という職能に大まかに分かれても、関連技能ではない別の技能や、能力を持ち得ることを許容しており、それを反映したものでした。  こうして、割と趣味全開で『企画仕様書』という名目の『テーブルトークRPGルールブック』ができあがって行きました。実際に実装前にこれを使って手動でプレイしたりもしましたが、あまりに判定が煩雑過ぎて、かなり端折ることが多かったです。  が。  その当時、私は会社上層部との関係性があまりよくなく(勝手ばかりやってたので当然ですが)、別に作成していた企画が他の人に取り上げられてしまい、私は会社に嫌気が差していました。ほどなくして私は会社を離れ、個人の繋がりでしばらく仕事をするようになりました。  残った後輩から、その後のプロジェクトの状況は都度報告をもらっていました。遅々として進まない、その話しを詳細に聞く度に、恐らくこれは世に出ないな、と感じておりました。  それから一年ほどが過ぎ、そのプロジェクトはペンディングとなったことを、会社に見切りをつけて辞めて来た後輩から聞きました。  こうしてある程度心血を注いで作りかけていたモノは、市場に出ることはありませんでした。私にとっては悪い気分ではなく、むしろあんな趣味のカタマリが世に出なくてよかったと安堵しておりました。  という訳で『メイジニアス』のシステム原型は、このお蔵入りになったシステムが土台となっています。『メイジニアス』というタイトル造語は、お話しを作ろうと思ったときに命名したので、お蔵入りのタイトルではありません。私が  『Wizardry(SIR-TECH社)  『Sorcerian(日本ファルコム社) というゲームが大好きで、  Wizardry→Wizard  Sorcerian→Sorcerer と、いずれも魔術師や魔導師の意味があることから、魔術師を表す『Mage』と特殊な才能を示す『genius』をくっつけたものです。  ちなみに『Magery』は『ウルティマ・オンライン』で使われてたスキル名だったのと、X68K用のPDS(パブリックドメインソフト)のタイトルでもあり、元より頭にはなかったです。  思いの外長くなりましたが、今回はこの辺で。続きがあるかは気分次第ですが……。    ここまでこの駄文におつき合いいただきまして、ありがとうございました。
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