空とつばさ

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         -1-  教室のドアが開き、いつものように担任が入ってきた。いつもと違ったのは、担任のあとから一人の女子が教室に入ってきたこと。まるでアイドルのような彼女を見て教室中がざわめいた。 「みんなに新しい仲間が加わるぞ」  担任が教壇に立って言った。彼女は教壇の横にすっと立って僕たちの方を向いた。 「初めまして。白鳥つばさです。よろしくお願いします!」  大きなリボンで結んだポニーテールを揺らしながら彼女は深々と頭を下げた。 「白鳥さんは窓際の一番後ろの空いている席へ」  担任が言った。それは僕の隣の席だった。彼女が歩いてきて、僕の席の前で立ち止まった。 「青井くん。また会えたね!」  彼女が僕に言った。教室中がざわめいた。彼女が席についた。僕は慌てて彼女に言った。 「誰かと間違ってません? 僕は君のこと知らないんだけど」 「間違えてなんかいませんよ。青井空くん!」 「名前はそうだけど人違いだよ」  教室中が騒然としている。担任が「静かに!」と言うと、みんな大人しくなった。それからホームルームが始まった。 「僕たち、知り合いだと思われてるよ」  僕たちは小声で話し続けた。 「何かいけないことでもあるの?」 「いや・・・別に・・・」  彼女が教室の中を見回した。それから僕の顔を見て言った。 「なんかわくわくするね」 「何の期待をしているの? すぐに分かると思うけど、ここはつまらないただの進学校だよ」 「みんな頭がいいんだ」 「そんなことはない」 「今日の君は、なんか静かだね」 「僕はいつもそうだよ。君の知っている『青井空』って人と比べてもらっても困る」 「でも良かった。こうして君に会えた。私、とっても嬉しいです。神様、ありがとう」  そう言って彼女は、窓から蒼い空を見上げた。
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