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勧められて、その部屋の椅子に座ると、太田が、
「実は向こうにも広い部屋があるんだが、実験室なんでね。入れる訳にはいかんのだよ。申し訳ないが‥‥」
「いえ、ここで結構ですよ」
「それで、どんな用件ですかな?」
「なんか幽霊を科学的に研究されてるようなんで、お話を伺いにきた訳です」
「ふむふむ。その前に、ここの看板に『異人』とあったように、私はいわゆる『霊体』のように、別の者とは考えてないのですよ」
「はぁ‥‥?」
「つまり『幽霊』というのは、誰の中にもいるのです」
「えっ、どういう事ですか?」
「あなたも私も、自分の幽霊は、自分の体の中にいるのです」
「ほぅ‥‥」
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