ネオン

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 東京タワーの近くへ、僕は歩いていく。少女の痕跡を探すために。  本当になにも見つからない。彼女は一体誰だったのだろう。  気のせいだと思い込もうとした。あんなの幻覚だったのだと。  でもあの不思議な体験は、嘘だと思えない。  ふらふらと彷徨っていると、薄暗い路地に看板があるのが見えた。 ──三週間前、この付近で起きた誘拐事件の目撃者を探しています── 「ん?」  近づいて小さい字を読む。 ──被害者の特徴:白パーカー ホットパンツ 青スニーカー── 「──あの子だ」  僕は看板から、この付近で車によって連れ去られたことと、容疑者が金髪のヤンキーじみた格好をしていることがわかった。ナンバーは割れていたが、車は盗難車だった。ネットニュースにもなっていて、容疑者が少女を無理やり連れていくところが動画になっていた。 「あれ……」  容疑者に見覚えがあった。あのとき、そう、あの最初に少女を見つけたとき。僕にぶつかってきたヤンキーだ……!  ということは。近いうちにあいつは現れるはず。  よし、警察に伝えよう。僕は看板にあった番号に電話をかけ、そのことを説明した。 「……わかりました。その周辺の警備を強化します。情報提供ありがとうございます!」  電話を切り、家へと急ぐ。こんな薄暗い路地に長くいたら僕だって事件に巻き込まれる。    それから三日後。 「誘拐犯 ついに逮捕」というニュースが速報でテレビに流れた。 「誘拐犯が逮捕されました。容疑者は警察に出頭し、容疑を認めているということです。逮捕されたのは……」
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