プロローグ どこかにある剣と魔法の世界

1/1
前へ
/31ページ
次へ

プロローグ どこかにある剣と魔法の世界

 遠い遠い、昔。  いや、遠い遠い、未来だろうか。  それは、どこかにある剣と魔法の世界。  栄華を極めた世界は滅び、人々は散り散りになった。  やがて文明も歴史も忘れ去られた世界で、人々と魔物は世界を共有して暮らしていた。  戦士は己の強さのために戦い、魔術師は叡智を以って戦う。  妖精の歌は人々の心を癒し、精霊の祈りは空を駆け巡る。  竜は炎を吐き、悪魔は欲望を忍ばせる。  戦士は剣を振るい、魔術師は呪文を唱える。  神は、ただそれを眺めていた。  その世界に生きる全ての命に、平等に与えられた運命があった。  それは、定められた時の中で生き続けること。  例えそれが、どんな形であっても。  例えそれが、望まぬものだったとしても。  例えそれが、避けられない宿命であっても。  勇者は悪の根源を絶つために立ち上がり、賢者は世界を救うべく知恵を絞る。  かつて栄えた世界の地図を広げて、人々は夢を見た。  冒険の旅に出かけた。  いつかまた、あの世界に辿り着けたら、と。  これは、そんな物語。  いつかまた、誰かが夢見た物語。  そして、いつかまた、誰かが語り継ぐ物語。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加