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ドリー
いつも陽気に振る舞うドリーだが、内心はかなり傷ついていたようだ。
「リーダー格の女の子の好きだった男子が、告白してきて。その男子を私が振っちゃったから」
「そうか。だから嫉妬してドリーをイジメていたのか」
ガッチリと南京錠を金網に掛けた。
「そ、まァ、表向きは仲の良い振りをしてたから担任教師や男子たちには解らないようにボッチにされてね」
「ふぅン、なるほど可愛いってだけで陰湿なイジメをされるんだな。そういえば人気のアイドルも昔、イジメられてたって子が多いらしいけど」
同級生から無視されるのは精神的に辛いものだ。
「あの頃、トモローがいなかったら引きこもりになってたよ」
「はァ、知らなかったよ。ドリーはいつも明るいから、そんなに追い詰められてたなんて」
「だから今度は私がトモローに手を差し伸べる番だろォ」
「いやァ、ボクだって、そんなに恩着せがましくはないよ。さすがに小学生の時の恩を返せなんて言わないさ」
「恩なんかじゃないよ。だって私の初恋もトモローなんだから」
抱きつくように腕を絡めた。
「えッ、マジで?」思わず彼女を見つめた。
「フッフフ、だからふたりで龍恋の鐘を鳴らそう」
「うン」
初恋は実らぬものだと聞いているが、どうやら例外もあるようだ。ボクはポケットからミントタブレットを出し、口へ放り込んだ。
一気に口じゅうがスゥッとしてきた。
「ねえェ、私にもちょうだい!」
「ああァ」
ボクはドリーにもミントタブレットを上げた。
鐘を鳴らし、ボクたちはキスをした。
初めてのキスだ。爽やかなミントの味がした。
その日からボクの生活は彼女一色に染まった。
ハッピーエンド
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