婚活の時間

1/1
前へ
/11ページ
次へ

婚活の時間

「ハァイ、坊やたち、みんな静粛に!」  美人教師の織田マリアが教壇に立つと勢いよく教壇の机を叩いた。 「ううッ!」補習のため集まった落ちこぼれの生徒たちは驚いて、一斉に美貌の女教師を見つめた。  いつもとは様子が違ってシリアスだ。  織田マリアは神妙な顔で教室にいる生徒たちを見回した。  なんとなく教室内に不穏な空気が流れた。 「ゴックン」誰かが音を立てて生唾を飲み込んだ。 「フフ、これから重要なお(しら)せがあります」  だが、すぐに織田マリアはいつも通りに(なまめ)かしく微笑んだ。 「ケッケケ、なんだよ。マリア先生? 新しく買った水着のショーでも始めるのか」  隣りの(ジョー)ダンがふざけたことを言って笑いを誘った。名前の通り(ジョー)ダンはいつもふざけてジョークばかり言っている。いわゆる空気を読まない(KY)というヤツだろう。 「ヒューヒュー! ご機嫌だねえェ」  周りのお調子者の男子生徒らが歓声を上げ(はや)し立てた。 「お黙り! 坊やたち」  マリアはムッとして、また机を思いっきり叩いた。まさに女王様と言ったところだろう。 「うッううゥ!」 「本日をもって、この補習クラス全員は退」  織田マリアは(あや)しく笑みを浮かべた。 「えッええェ、なんだッてェ?」  思わず生徒たち全員が立ち上がった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加