5時間目は婚活の時間

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5時間目は婚活の時間

 ここはパラダイス学園の高等科だ。  入学すれば、よほどのことがない限り自動的に大学へ進学できるはずだった。  しかし及第点に達せず、ボクたちの5時間目は補習の時間になった。  補習クラスの担任は、美人教師の織田マリアだ。 「ご存知かしら? 今、日本は危機的な状況なのよ」 「えェ、危機的な状況?」   「日本の非婚率は、三十パーセントを越えて過去最悪なのよ。そのためあなた達に白羽の矢が立ったの」 「ボクたちに?」 「そう、あなた達こその第一期生なの」 「えッ、ええェ、なんですってェ。婚活学園?」  いつの間にか、ボクたちは国家プロジェクトに組み込まれていた。  こうして結婚適齢期の女性たちとの婚活が始められた。    ボクの名前は明日葉友朗(あしたはトモロー)。中学までは勉強づけだったが、高校へ入った途端、地下(インディーズ)アイドルの『キッスし隊』にハマり、勉強そっちのけで応援している。  おかげで成績は下がりテストは赤点ばかりだ。卒業も覚束(おぼつか)ない。そして補習の時間に宣告されたのが今回の婚活の話しだった。 「はァ、困った。婚活なんて」  ボクは女性と話すのが得意ではない。ハッキリ言えば苦手だ。地下アイドルとの握手会でもほとんど話せない。ニコニコして、『頑張ってください』と言うのが精一杯だ。  帰宅途中の足取りも重たい。  うなだれて歩いていると、背後から近づいてくる足音が聞こえた。 「よォ、友朗(トモロー)!」  背後から女の子がボクに向かって叫んだ。 「えェ……」  振り向くと美少女がボクの背中へ勢いよく飛び乗ってきた。
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