私は何色?

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 山の紅葉は今まさに見頃だった。楓は真っ赤に染まりオレンジ色に染まるもの、黄色に染まるものも色とりどりで自然そのものが芸術となっている。  シーズンど真ん中は人がたくさんいるからやめようと言っていたが、結局一番混んでいる時に来ている。渋滞するし駐車場は取り合いだし最悪だ。  地方出身である私たち男女五人。中学も高校も一緒でみんな大学は都心に出た。地元に残ったのは私だけ。うちは大学に行けるようなお金がなかったし、これ以上勉強したいこともなかった。私はそこまで頭が良かったわけじゃない。  非常勤で半日を市役所で働いて、もう半日は地元の自然保護活動している団体に所属している。こっちは給料があるわけじゃないけど、自然に触れることができて楽しいから私は満足していた。家に畑があって自給自足してるからそれほどお金に困ってない。野菜とかお米って譲り合いだし。  久しぶりにみんなで会って遊ぼうよという誘いに行ってみれば、四人は見事に都会カラーに染まっていた。キラキラ女子と意識高い系の男子。ブランド物を身に付けて、明らかに私だけ浮いている。みんな口には出さないけど自分たちの方がおしゃれでワンランク上だ、と顔に書いてある。  この瞬間もうこいつらとの付き合いを切ったほうがいいなと思った。紅葉を見に行くのに山登りの格好ではなく町中を歩くような格好で来ている時点で、紅葉ではなく自分たちの写真を撮りたいだけだなとわかってしまったから。  さりげなく私を写真の中に入れないようにしているのも丸わかり。どうせ画像処理で切り取りできるんだから形だけでも一緒に写ってもいいのになと内心盛大にため息をついた。  口を開いても大学のキラキラした生活の自慢話ばかり。都会が悪いわけじゃないけど、都会に憧れて都会人ぶってる田舎者丸出しだなと思う。  都会の色ってギラギラしていて私は苦手だ。服も小物もごちゃごちゃしていて、何がお洒落なのかわからない。  喉が渇いたから持ってきたマグボトルに入ってるおばあちゃん特製のお茶を飲む。それを見てみんな「うわあ」と言った。 「それ、バクメイ茶でしょ。よく飲めるね」 「そんなのよりフタバのキャラメルフラペチーノのほうがおいしいよ。あ、そっちは店舗ないか」
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