私は何色?

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 私たちの地元に古くから伝わるお茶。味にちょっとクセがあって好き嫌いが分かれるけど私は好きだった。舌の上に残る苦味と薬臭さ、子供の時は苦手だったけど慣れた。  あと、大人になって飲んでみると刺激が強いから気分がすっきりするというか、具合が悪い時ほど飲むとちょっと元気が出る。今は結構好きだ。  都心部で店舗数を増やしているコーヒーショップの話になり私は全くついていけないので紅葉を見る。  きれいなんだけど、私はずっと気になってたことがあった。今日来ているのは観光スポットで有名な所、でも何でだろう。なんだか紅葉している木々が少し枯れているように見える。はっきりとはわからないけど幹がくすんでいるような。 「ん?」  足元に妙なものが見えて拾ってみる。イロハモミジだ。確かにモミジなんだけど、何でこんな色してるんだろう。辺りを見渡す。すると少し離れた場所にあるモミジが同じ色をしていた。 「何あれ」 「どうした」 「ねぇ、あれピンク色だよね?」  私は言いながらスマホを向けて思いっきりズームしてみる。そこには真っ赤に染まった中に隠れるようにピンクに染まった紅葉があった。それを見たみんなも慌てて自分のスマホを向けてズームをすると、本当にピンク色だと盛り上がり始める。  ちょっとまずい事したな、この雰囲気は絶対見に行こうと言い始める。そっちは遊歩道がないから立ち入り禁止のはずだ。 「先に言っておくけど、そっち立入禁止だからね」 「近くに行かないと写真取れないじゃん。大丈夫だよ別に崖があるわけじゃないし」 「すぐそこだろ、遭難するわけねえし」  以前よりもだいぶ物事を強引に進めるようになってしまったなと、がっかりするというかちょっとうんざりする。自分の意識を高く持つことと、自分勝手に振る舞う事は全然違うんだけど。 「じゃあみんなで行ってきて、私は行かないから」  私の言葉に四人は何それという微妙な雰囲気になるけど、私は構わず続けた。 「みんなと三年離れたけどだいぶ変わったよね。前はそんな常識知らずの無神経じゃなかったよ。都会がどんな所なのか知らないけど、最低限守らなきゃいけないルールとマナーは守って欲しかったな」  どうせ止めても行くだろうから、私はそれだけ言ってみんなの反応を待たずに下山のために歩き始める。  高校の卒業アルバム、ずっと友達だからね、なんてみんなで書き込んだけど。たった三年で崩れるものなんだなぁと私はちょっと寂しくなった。
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