かぼちゃのお化けがやってきた! ジムナーズ・ハロウィン2022【秘色のステラマリスSS】

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 今日はハロウィン! そして俺はかぼちゃのお化け、ジャック・オー・ランタンだ!   今年のハロウィンは、森に囲まれた静かな寄宿舎にお邪魔することにしたぜ。  脅かしがいのある、純粋そうな男の子たちばかりだから、いまから悲鳴を聞くのが楽しみだ。  やつらの様子をうかがうことにしようと思っていたら、さっそく赤毛のくるくる頭の子に見つかっちまった。 496fb9f2-eebb-4269-9d82-75a1fbbc8d2b 「わあ! 君、ハロウィンの精霊さん? こんにちは! 僕、ルーだよ」 「ちっ、見つかったなら仕方ねーな。だが、俺のことはみんなには秘密にしときな。じゃなきゃ、お菓子じゃなくイタズラをもらうことになるぜ」 「うんうん、僕たちふたりの秘密ね! てか君、驚かないの? ほら、こういうときの定番って『な……!? お前、俺が見えるのか!? 俺が見えるのは純粋な人間だけのはず……』ってやつでしょ!?」 「え? いや、そりゃ見えるだろ。俺自身は霊体でも、普通のかぼちゃの中に入ってんだからよ」 「やりなおして」 「え?」 「やりなおして」  目が据わってて怖い……! 「な、な……? お前、俺が見えるのか……? 純粋な人間にしか……見えない、はず、なのに……」 「うふ♡ 君のこと、だ~~~れにも言わないよ! 素敵な友だちができてうれしいな!」  ふう、なんだか知らねーが面倒なやつに見つかっちまったみたいだ。でもまあ、抱えて移動させてもらえるし、これはこれでラッキーか。  最後にみんなまとめて阿鼻叫喚(あびきょうかん)の地獄を見せてやる! 「あれ? ルー、サロン室に行くの?」bb1ea9fc-84a9-451d-ac14-6519a4da2b4f   妙に優等生そうなやつが出てきやがった。  確かこいつの名は——。 「やあ、エヴァ! そうだよ。さっきエドマとベルトがミリアンと手分けして、サロン室に仮装の衣装を持ってきてくれたんだ。どれを着るか選ばないと! 早いもの勝ちだよ」  エヴァって呼ばれたやつの隣には、黒髪のメガネっ子がいる。 aeccd6f6-8686-4d99-b004-5dd27210a8ca  こいつはアマーリとか言ったな。熱心に神を信じてやがるやつだ。 「ルー、あの、その小脇に抱えているかぼちゃだが、こ、こっちに顔を向けるな! 不気味だ」 「えー? そう? 僕にはかわいく見えるけど」 「う!! 目が合った——あ、頭が痛い気がする、あたたたた」  ははははは! こいつはなかなか勘がいいみたいだな。楽しいぞ。 「アマーリったらまたまた~。僕らもう16歳にもなったってのに、まだ厨二病(ちゅうにびょう)? 邪気眼(じゃきがん)が目覚めだした?」 「し、失礼な!!! 神の守りたもう俺にそんな物騒なものがあるわけないだろう!! ——ないよな? いまのでまさか、目覚めたり、しないよな?」  カッカッカッ! 真っ青になっちゃってかわいいね~~!   アマーリ、気に入ったぜ。  と思っていたら、おっと! エヴァが俺の頭を()でてきやがる。 「まあまあ、僕にもかわいく見えるけどね。みんなで協力してくり抜いたんだもん、大きさの違う三角の目にも愛着があるよ。でもほら、いい子だからルーのお腹のほうを向いてぎゅってしてもらいな。よしよし」  え? 何それ、好きになるじゃん……やめろよな……。  うっかり初恋に落ちそうになってしまったが、どうにかお茶を飲むサロン室まで来られた。  ルーが俺を暖炉のでっぱりの上に置いてくれたので、じっくり部屋中を眺められる。  あいつが双子の兄のほうエドマか、さっきからだんまりだな。 4772fe70-a89c-4cad-b8af-3498fca6c1cc   で、あっちが弟のベルト。きれーな顔しやがって。2f9b9f5e-0724-4a2d-8198-09c76fabfee2 それからあれがキザっぽい雰囲気のミリアンだな。 d32dbf69-31c0-40fb-bdf9-2f245e927e26  6人ともなるとなかなか賑やかだ。  アマーリが何度も俺を振り返るので、特別にピカッと光るウインクをしてやったら、泡を吹いてソファに倒れやがった。  ルーとエヴァが呑気(のんき)に「あれ? アマーリったら昼寝?」「寝かせてあげようよ、きっとプレパ(※1)に向けての勉強で寝不足なんだ」とくっちゃべっているのが、ちゃんちゃらおかしいぜ。
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