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「さすが鈴木くんだ、単純な言葉で告白しないんだね! 小説の台詞みたいだ」
「…これ、小説なんだからな」
一応、と鈴木くんは付け加える。
そんな声は聞こえず、「もう負けだ。鈴木くんはやっぱりすごいや」と陸は笑った。
「いや、負けたのは俺だ。どんな形でもいい、陸に俺を好きって言わせたかったのに」
参ったように呟く鈴木くんに「もう一回キスしよ?」と陸はくっついた。
「な……陸っ!? 何言って…」
「やっぱり鈴木くんには敵わないね。現実を小説にするっていうのはあるけど、小説を現実にしちゃうなんて。その熱烈な言葉、嬉しかった!」
陸の目は輝いていた。
鈴木くんの一大決心の告白は、単純で無邪気な陸に届いた……のだろうか?
そのまま被せられる唇に、「さっきの告白の返事は!?」という鈴木くんの言葉は掻き消されたのであった。
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