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危うく、陸は彼への好意を告白しそうになった。二度も自分を助け、犯人を捕まえた彼に。
だが、やはり同性の友人として見られている手前、関係を崩すのは怖かった。
寸前で言葉を呑み込むと、代わりに涙が一筋頬を伝う。
「陸……?」
「ごめ…、安心したからかな。なんか――力が抜けちゃって…」
へなへなと座り込むと、鈴木くんも隣に座った。
そして、にやりとしながら顔を覗き込んでくる。
「…今日はさぼっちゃおうか、授業」
「え?」
「今からじゃもう間に合わないし。せっかくだしさ」
鈴木くんは手を握ってきた。思わずどきりと心臓が跳ねる。
――また、気を遣ってくれているんだな。
鈴木くんの優しさに、さらに涙が滲む。
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