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「うん、さぼろっか。でも、どこに行く?」
「うち、来ない?」
「鈴木くんの家に?」
驚いて聞き返すと、鈴木くんは「普通のアパートだけどさ」と笑った。
「一人暮らしだから、気を遣わなくていいよ。ゲームもあるし、漫画もある。僕、ゲーマーでオタクだから退屈しないと思うよ?」
その言い方に、陸もつられて笑った。
「じゃあ、行くよ」
「よし。決まりだね」
2人して立ち上がり、来た道を戻る電車に乗り込む。
これから好きな人の家に行く――初めての出来事に、陸は緊張していた。
「ここだよ」
そうして連れられて着いた鈴木くんの家は、確かに築年数の経ったアパートだった。だが、家の中は整然として綺麗だった。それに、中は想像していたよりも広い。
「これは、すごいね……」
本棚には、想像をはるかに超えた沢山の漫画や小説。その隣にはゲームも並んでいる。その光景に、陸は呆気に取られる。
「休日は家から出ないんだよ、良くないことにね」
鈴木くんは苦笑しながら、でも満足そうに家中を見回して言った。
ここで鈴木くんは生活している。ゲームしてごはん食べてお風呂に入って寝ている――単純なことなのに、好きな人の生活を想像したら落ち着かない気持ちになる。
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