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「ただいま」
その時、鈴木くんが帰ってきた。
どきりとして玄関を見つめる陸。
見て見ぬふりをして元に戻すつもりだった――だが、こんなのを読んでしまって、鈴木くんの前で自分が平常心でいられるとは思えなかった。
「鈴木くん…」
ファイルを手にしながら、信じらなれない――という目をしている陸に、彼も事情を察知したようだった。
「それ、読んだの?」
「読ん、だよ…」
陸は正直に言った。ごまかしようがなかった。
「鈴木くん…これ、何なの? 成田陸って僕だよね?」
聞きたいことが多すぎる。
なぜ、友人である自分と鈴木くんの恋愛小説なのか?
それに、なぜ「成田陸」はか弱い上に鈴木くんに一方的に恋していて、「鈴木くん」は勇敢なヒーローなのか?
キャラクター設定も現実とはかけ離れすぎていやしないか!?
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