《第二章 進展》

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「俺の最新作だよ」 鈴木くんの声が低くなった。 近付いてくる鈴木くんの目を見て、陸は後退りした。 見たことのない目。それこそ、この小説の最後にある――男の顔。 「ねえ、俺の最新作は面白かった?」 鈴木くんが距離を詰めてくる。 狭いワンルームでの逃げ場など――無い。 「意味が分からないんだけど。僕と鈴木くんが恋愛するの、これって? 僕ら友達だよね? 一体どういうつもり…」 鈴木くんは素早く陸を押し倒した。 床に重なる2人。手首を強い力で掴まれ、陸は驚いて叫んだ。 「何するの!? 離してよ鈴木くん!」 「陸、俺の小説のファンなんだよね?」 鈴木くんは抵抗する陸を冷静な態度で押さえつけていた。 「俺は色々なジャンルの小説を書きたいんだ。そのひとつとして同性の友人との恋愛物を書いてみたんだよ。だから協力してほしい」 「協力、って――」 「これが最終章だ」 再び陸を手首を押さえつける手に力が入る。
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