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――この人、本当は僕のこと好きなんだ。
不器用なだけで、伝えたいのに伝えられなくて、こんな状況になって。小説内で陸から告白させることで、現実も変えようとしているのだろう。
それなら、意地でも鈴木くんのほうから言わせて完結させてやる。
「鈴木くんが言わないと、僕たちの物語は終わらないよ?」
「そ、れは…」
鈴木くんは動揺していた。そんな表情を見るのは初めてで、強気だった陸も内心では焦ってしまう。
だが、なんとか平静を保つ。
「鈴木くんの中の『成田陸』は、こんなことしない?」
陸は懸命に不敵に笑いかける。
鈴木くんは一瞬躊躇ったが、
「――乗っ取られた気分だ」
ふっと笑い、唇を重ねてきた。
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