0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
毎朝、7時に起きて身支度を済ませ、お母さんが作ってくれたハムエッグと山型食パンのトーストをしっかり食べる。
窓際に無造作に置かれた真っ黒な石のピアスと、同じ石で作られたブレスレットを無感情に身に着け、7時40分には家を出るのが私のルーティン。
(あ、昨日までいたおばあさん、もういないや)
ここ数日、駅前のスーパーの前にうずくまっていた半透明の老婆はもういなかった。まぁ、その他のいつメンは今日も青白い顔をしてそこにいるのだけど。
こういうのは見えないフリをしてスルーだ。怖くて怖くて仕方ないけど、いないものとして扱えば、意外と慣れてくるものだ。
たまに、いきなり出くわして声が出てしまった時には、あえて好戦的に立ち向かうようにしている。
「通行のジャマ!あっち行け!」
思いっきりすごんで見せると、白装束を着たその人は悲しげに消えていった。こうなるとただのチンピラである。
もちろん、こんなことができるのは相手が無害な小物だからできることなのだけど。
最初のコメントを投稿しよう!