誰かにとっての一番になりたい

6/8
前へ
/8ページ
次へ
 次の日、いつもの時間に目を覚ます。でも、体が起き上がらない。なんだがものすごくダルイ。試しに熱を測ってみたが、平熱だった。学校に行く準備を始めようとすると、急に鼓動が早くなり苦しくなった。  私はそれから学校に行けなくなった。  自分でも原因がわからなかった。でも、あの日、小さな小さな積み重ねが限界を迎え、ずっとずっと耐えてきた私の心が突然元気を失った。周りから見れば不思議だと思う。今まで普通にしてたのに、学校に行けなくなりました。なんて。  だけど、一回休んだあの日から学校に行くのが怖くなった。  たった一日休んだだけだけど、その一日で私が今まで死ぬ気で守ってきた居場所はかき消されてしまうのではないかって。不安が不安を呼んでいた。  私が寝坊しても体調が良くなくても学校を休んだことがない理由。それは、皆勤賞が欲しいわけでも、学校が好きだからでもない。  自分がいない間に自分が必要のない人間だと周りに知られるのが、気付かれるのが怖かったからだ。私は誰にとっても一番でも、必要不可欠な存在でもない。そんな私だから、一度でもいなくなったら本当に無意味な存在になってしまう気がした。  こんなことを考えていたら、休んでいた一日が二日三日と増えもう完全に戻れなくなった。  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加