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「っやめなさい!…ぃい、嫌がってるでしょ!?」
思い切り振り向いて、振り向きざまに自分の中で最大の声を上げる。
が、それほどの迫力ではなかったようだ。
背後の男女たちが、きょとんと不思議そうに姫乃に視線を送った。
「 ・・・ぇ?誰?」
「だ、誰でもいいでしょ!女の子たち、めめ迷惑そうじゃない!」
小さく震える手をぎゅっと握りしめて、男たちを睨みつける。
隣に座っていたユーリも心配そうに姫乃を見つめ、ゆっくりと立ち上がった。
「…ふーん♪お姉さんたち、可愛いね?いくつ?」
「なっ…!そ、んなこと… …」
関係ないし、歳上には敬語を使いなさい!
と、気持ちの中では言ってやりたかった。
が…果たせず。
男達の興味は背後の女の子達から、姫乃とユーリに移ったようだった。
「…ひめちゃん…」
ユーリが姫乃の浴衣をきゅっと握り、心細い声で呟く。
別にかっこつけたいわけではない。
し、強いわけでもない。
ただ、自分が勇気を出さなければ…
強く、ならなければ… …
「年上でもいいよ?俺は範囲内~♪」
「ねぇ、そっちのお姉さん、ハーフとか?めっちゃ可愛いじゃん♪」
「… …」
心臓がドキドキ震えて、全身も震えて…
何か言葉を発さなければ…
何か、ユーリを守れる言葉を
強くなりたい。
もっと強く、ならなきゃ…!
そう思うと、無意識にも頭の中に
王史のあの不敵な笑顔が浮かぶ。
そして… …相変わらずあの意地悪な笑顔が
勇気をくれるのだ。
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