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「…ぁの、私…ひなたさんと出会った当初は、ひなたさんのことが…正直苦手で… …でも、ひなたさんのこと、す、好きになれたのも、ひなたさんに信頼していただけたのも…王史くんのおかげなんです…」
「…俺?」
「はぃ!私1人では…ひなたさんの自伝、きっと内容が読み解けていなかったと思うので…」
王史の体温を背中に感じたままわずかに振り返り、小さく微笑む。
「…ふーん。じゃ、お礼して…」
「お礼、ですか?も、もちろんです!…でも、私にできることが、ありますか?」
「…お前しかできねぇだろ
いい加減… …俺のになれ」
つまらなそうにそう呟くと、きゅっと姫乃を抱きしめる腕にわずかに力を込める。
優しさもない、甘さもない、そんな単調な呟きだが…その腕からは痛いほどに伝わってくる…
王史の…気持ち。
ドキドキしないはずがない。
息苦しさを感じないはずがなくて…
その言葉が
嬉しくない…
はずがない。
それでも…自分のそんなドキドキは
認められないのだ。
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