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うっかり…頷いてしまわないように
きゅっと瞳を閉じ、小さく息を吐く。
「…王史くん、だ、ダメですょ?…そんなこと言ってると…ユーリちゃんが、不安になっちゃいます」
努めて明るめの声を出す。
王史のことだ、そんな姫乃に返ってくる言葉は
「だから、関係ないって…」
「関係なくないです!」
決まって、そうだ。
王史は『関係ない』などと平気で言ってみせるが、姫乃にとっては全く『関係ない』と切り離せる問題ではない。
それに…
「例え、王史くんがユーリちゃんを関係ないって言ったとしても…王史くんはとっても、す、素敵で、やっぱり、王史くんのお隣は、ユーリちゃんのような本物のお姫様じゃないと、つ、釣り合わない…です」
「・・・・」
じっと姫乃の言葉に耳を傾けながら、王史は何を思っているだろう。
それを気にする余裕もないほどに…"王史に近づかないための理由"を、必死で並べてみせる。
「それに、ぉ王史くんは…Rose Berry.Co.の社長さんです!…私は、いち社員で…王史くんとはまったく、住む世界も違うし、まったく、釣り合わないし…それに… …」
「くっだらねぇ。」
「っっ!?」
「んなこと気にしてんの?『住む世界が違う』?
なわけあるか。同じ地球の同じ日本だわ」
「そ、そーゆー意味じゃ…」
「じゃあ、お前がお前の目で確かめろ」
「ぇ…?」
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