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閃いたと言わんばかりに、王史が顔をあげる。
「決めた。お前からの"お礼"。…丸一日、俺の隣にいろ」
「え!?そ、れは…リオンさんの代わりをしろと!?」
突然の決定事項に姫乃が一気に青ざめる。
そして、そんな姫乃に相変わらずの辛辣な一言が突き刺さるのだ。
「あ"?バカか。お前にリオンの代わりなんて務まるわけねぇだろ。じゃなくて、俺も予定空けるから…どっか、行くぞ」
そう言った王史の声が、どこか優しくて…
そんな無茶な要望に応えてはダメだと分かっていながら
"幼馴染として"
"旧友として"
"部下として"
そんな理由さえ並べれば、許してもらえるのかもしれない…などと考えてしまう自分は…卑怯者だ… …
「…わ、かり…ました… …でも、そんなことがお礼になるとは、思えませんけど… …」
「俺がいいって言ってんだから、いいの♪」
そう言った王史の声が、いつもより楽しそうに聞こえたのは…気のせいなんかではない。
そして、戸惑いながらも王史の傍にいられることを嬉しいと感じてしまう自分のこの気持ちは…
閉じ込めておかなければ、ならないのだ。
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