よわむし姫に恋の魔法を

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「社長なんでしょ?よわむしな姫乃さんを強くしてくれる存在って。この前言ってたよね?」 「…それは… …そぅ、です… …」 「へぇ ステキだね!まるで魔法だ!」 「ま、魔法…ですか?」 「うん。よわむし姫が強くなれる、恋の魔法♪」 「… 恋の… …」 ずっと、不思議だった。 王史の存在を感じるだけで、どこからか勇気が湧いてきて…少しだけ、強くなれる。 ずっとずっと嫌いだった、よわむしな自分。 そんな自分を王史はずっとずっと… 見ていてくれた。 そして… … 『お前のこと好きなのは、変わんねぇから』 王史のぶっきらぼうな、愛想も熱意もない そんな告白を思い出す。 「… …姫乃さん?」 突然、両手で顔を覆いうつむいてしまった姫乃を、ひなたが不思議そうに覗き込んだ。 と、指の隙間からひなたと視線が重なり 震える声が、こぼれ落ちた。 「ひ、ひなたさん…ど、しよ… …私… … 王史くんに… …恋、してます… …」 「・・・・あははは!何それ!?今なの!?今自覚した感じ!?も~本当、姫乃さんって面白い! …いいよ。僕の完敗だね?相手が婚約者のいる社長なら、姫乃さんの意識を奪えないかなぁなんて企んでたけど…自覚しちゃったなら仕方ない」 「…ひなたさん?」 「本当は、僕が君に魔法をかけたかった…よわむし姫に、恋の魔法をね♪」 そう言ったひなたはいつもより大人びていて 今まで見た中で一番…綺麗だった。
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