705人が本棚に入れています
本棚に追加
まさか…まさか、ユーリには…言えない。
ユーリの婚約者である王史と2人きりだなんて、間違いなくユーリを傷つけてしまう。
それに…そんな後ろめたい気持ちで王史と会うのも…
正直、辛い。
繰り返されるホーム画面の打ち上げ花火を、キラキラとした瞳で見つめるユーリはとても可愛くて…
誰がどう見ても、お姫様のように綺麗なユーリは
王子様のような王史の隣にふさわしい。
そう思うとやはり…姫乃の出る幕など、ない。
「… …ユーリちゃんも…一緒にいかない?」
きっと、これが
…正解だから。
「っ!?い、いく!いきたい♪いいの!?」
「うん♪」
「わぁ~い♪YUKATA!買わなきゃ!」
「ふふっ そうだね」
「食事終わったら、shoppingしよ♪楽しみ~♪」
満面の笑顔で飛び跳ねるように喜ぶユーリに笑顔を向けると、ふとユーリが大きな瞳を姫乃に向けた。
「ぁ…でも、ひめちゃん、ダレかと一緒にいくんじゃないの?私、おじゃまではない?」
「うぅん!…ユキさんとリオンさんと、王史くんと…行きたいねって話してただけだから。ユーリちゃんも気兼ねないでしょ?」
「…おーし、も…?」
「うん!ユーリちゃんも一緒なら、きっと王史くんも喜ぶよ!」
努めて笑顔でユーリに答える。
その笑顔は引きつっていなかっただろうか…
「… …ありがとう」
そう微笑んだユーリの笑顔がどこか曇って見えたのは…気のせいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!