ユーリの王子様

3/13
前へ
/371ページ
次へ
まさか…まさか、ユーリには…言えない。 ユーリの婚約者である王史と2人きりだなんて、間違いなくユーリを傷つけてしまう。 それに…そんな後ろめたい気持ちで王史と会うのも… 正直、辛い。 繰り返されるホーム画面の打ち上げ花火を、キラキラとした瞳で見つめるユーリはとても可愛くて… 誰がどう見ても、お姫様のように綺麗なユーリは 王子様のような王史の隣にふさわしい。 そう思うとやはり…姫乃の出る幕など、ない。 「… …ユーリちゃんも…一緒にいかない?」 きっと、これが …正解だから。 「っ!?い、いく!いきたい♪いいの!?」 「うん♪」 「わぁ~い♪YUKATA!買わなきゃ!」 「ふふっ そうだね」 「食事終わったら、shoppingしよ♪楽しみ~♪」 満面の笑顔で飛び跳ねるように喜ぶユーリに笑顔を向けると、ふとユーリが大きな瞳を姫乃に向けた。 「ぁ…でも、ひめちゃん、ダレかと一緒にいくんじゃないの?私、おじゃまではない?」 「うぅん!…ユキさんとリオンさんと、王史くんと…行きたいねって話してただけだから。ユーリちゃんも気兼ねないでしょ?」 「…おーし、も…?」 「うん!ユーリちゃんも一緒なら、きっと王史くんも喜ぶよ!」 努めて笑顔でユーリに答える。 その笑顔は引きつっていなかっただろうか… 「… …ありがとう」 そう微笑んだユーリの笑顔がどこか曇って見えたのは…気のせいだろう。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

705人が本棚に入れています
本棚に追加