705人が本棚に入れています
本棚に追加
飲み物買ってくる。
と、その場を離れる王史の後ろ姿をユーリと共に見送った。
人混みに消えていく王史の後ろ姿を見つめながら、ユーリがぽつりと呟く。
「あの人、いつもあの調子。冷たいし、笑ってくれないし、まったく甘やかしてくれないの…」
「… …し、失礼ながら…分かる気がします…」
言いにくそうに言葉を濁す姫乃に、ユーリがふふっと笑う。
「でもね、私はそんなおーしでも、好きなの」
「…それって、ユーリちゃんは…Mっ子てこと?」
やや青ざめた表情の姫乃に、ユーリがきょとん?と疑問符を浮かべている。
「おーしは、ウソがないから。自分に正直で、自分があって、誰かに左右されるコトない。そんなところ、私にはないから…かっこいいって思う!」
「… …なるほど」
物は言いよう…とはよく言ったものだ。
王史のあの暴君のように横柄な態度も、横暴で自分勝手な行動も…そう捉えれば"魅力"になるのだろうか…
いまいち納得いかない表情を見せる姫乃に、ユーリがくすくすと笑う。
「でもあぁ見えて、人望は厚い人なんだよ?businessでは優しい顔するけど、心の芯は変わらないから。みんな、おーしの真っ直ぐなところ、好きになるみたい」
「… …」
ーーそれは、確かに…分かる。
王史の真っ直ぐな瞳を思い出す。
表情はそれほど変わらないが…あの瞳は
甘く姫乃を、包むのだ。
最初のコメントを投稿しよう!