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「私ね、ちっちゃな頃から自分で何も決められないの…周りが良いといえば良い!悪いといえば悪い!
人の言うコトきいて、人の求めるコトしてれば、いつも失敗ないし、たとえ失敗しても…私が傷つくコトない。…だから、気づけばいつも、誰かの顔色見てた。
本当はね、出会った頃はおーしのこと、苦手だったんだぁ。あの人、表情が分からないじゃない?
何を考えてるのか…。おーしの考えてるコト分からなくて…苦手だった」
昔を思い出しながら、ユーリがくすりと笑う。
「いつも冷たい目で周りを見てるの。そして、自分のしたいコトしかしないの!はじめの頃は、よく十和子さんが怒ってたよ?ふふっ
私も、あの冷静な目で見られると…自分のダメなところを見られてるみたいで…私はおーしと違って、人の顔色ばかり見てたから、おーしの目が…怖かった」
「・・・それも…分かります。怖いです…」
険しい顔でうんうん!と頷いて見せる姫乃に、ユーリが可愛らしく笑う。
「でもね、ある日突然、おーしに言われたの。あの無愛想な感じでね?『You are amazing. Not I can do that.』」
似ている似ていないは別の話で、ユーリがキリッとした表情を作り、王史のモノマネをして見せた。
ユーリの流暢な英語に、姫乃は?マークで返す。
と、ユーリが笑顔で答えた。
「『お前はすごい。自分にはマネできない』って。
人の顔色をうかがうなんてコト、ほめられるコトではないし、すごいなんていわれたコトないし、初めはバカにされてるのかと思ったけど…おーしは、心からそう思ってくれたみたい。『自分にもその特技があれば、もっと近道で思い通りに出来るのに…』って。ふふっ
おーしらしいでしょ?結局、私を褒めてくれてたワケではなくて、単純にテクニックとして?…それでも、うれしかった。自分のダメと思うところ、おーしは良いって言ってくれたから…」
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