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ふわりと儚く微笑むユーリは夢の国のお姫様で、綺麗で社交的で可愛くて、お料理もできて…ビビりで弱虫な自分とは違い何もコンプレクスなどないと思っていた。
「…王史くんはユーリちゃんの…王子様なんだね」
「Yes!大好き!…といっても、おーしが私に興味ないのは、知ってるんだぁ。結婚っていっても、おーしが言い出したことではないし。…私がおーしの傍にいても、イヤな顔しないでいてくれるのは、十和子さんとの関係もあるから… …」
「…ユーリちゃん?」
姫乃の呟くような呼びかけに、俯き加減に話すユーリが力なく微笑む。
「会社のためでも、ビジネスのためでも…いいの。たとえおーしが私のこと見えてなくても、私のことスキではなくても…私ができることは、おーしの隣で、おーしの応援するコトくらいだから…」
「違うよ!…違う。だってそんなの…寂しいょ… 」
突然、姫乃の真剣な瞳がユーリを覗き込む。
姫乃の突き刺さるような真っ直ぐな瞳に、ユーリが小さく息を呑んだ。
「ユーリちゃん!王史くんはユーリちゃんのこと"十和子さんとの関係があるから"イヤな顔しないわけではないと思う!それに、ユーリちゃんの人の表情を見て行動できる力だって、王史くんは本当に、ユーリちゃん自身のステキな能力だって、認めてる!と、思う…」
少し驚いた表情で姫乃を見つめるユーリの大きな瞳に、はっとする。
そして、あわてて付け加える。
「ぁ…えと、ユーリちゃんだって、さっき言ってたでしょ?王史くんは、自分の思うことしかしないって!十和子さんが怒ってたって。だから…王史くんがユーリちゃんにイヤな顔しないのは、ユーリちゃんのこと、ちゃんと認めてるって事じゃないかな?なんて…思うんだけど… …ごめん」
2人の関係に、でしゃばりすぎた。知りもしないことを、自分の感じたままに喋りすぎた。
内心、反省しながらも
そろりと、ユーリを上目遣いに見上げる。
と、ユーリが…今にも泣き出してしまいそうなほどに、切ない笑顔を見せた。
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