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「…さっきから、調子に乗ってるみたいだけど… …
あなた達みたいな子どもを相手にしてるヒマはないの。女の子に怖がられてるようじゃ、まだまだ子どもね?
もっと大人になってから、出直してきなさい!」
自分でも、自分の言葉とは思えない。
呆れたようにそう言った姫乃の様子に男たちはしらけたようで、その場を離れて行った。
しんっとした沈黙の中、男たちの背中が人混みに消えていくのを確認して…ユーリが姫乃に抱きつく。
「ひめちゃん!You are cool !!」
「ユーリちゃん!大丈夫!?」
震える手でユーリの手を取り、心配そうに覗き込む姫乃の大きな瞳に、ユーリが映る。
姫乃の大きな瞳は真っ直ぐで…
ユーリはこの瞳が…彼に…
似ていると思うのだ。
「…あ。行った?あいつら」
抱き合う姫乃とユーリの背後から、ふいにそんな気のない声がする。
と、その声に同時に振り向くと、買い物袋を提げた王史がしれっとした表情で立っていた。
「お、おーし!見てたの!?」
「…まぁ、遠くから見えた」
「ーーっ!?だったら、早く助けてよぉ~!」
珍しく、ユーリがぷりぷりとおーしに怒っている。
がそれもお構いなく、王史が小さく笑った。
「ま、姫がキャンキャン吠えてるし…何とかなると思ったから」
「なっ!ほ、吠え…!人を、犬みたいに…」
「は?お前より犬の方が優秀だろ」
「っ!?あ、相変わらず、ヒドイです~…!」
王史のいつもの笑顔を見ただけで、緊張の糸が切れ…
涙腺が緩んでしまう。
ぐっと涙を堪える姫乃に気付いてか
ぽんぽんと、優しく頭を撫でられてしまった。
「ん…お疲れ。頑張ったじゃん?」
そう言って笑った王史が…
やっぱり
ーー好き… …
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