ユーリの王子様

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夏祭りで、花火大会で、七夕まつりで… 盛りだくさんに詰め込まれたこのお祭りは毎年、大勢の人で賑わう。 ため… 「・・・はぐれちゃったねぇ…」 ぽつりとそう言うユーリに、姫乃が苦笑する。 「また後で連絡してみよう?リオンさん、ボールすくいもしたいって張り切ってたし、そっちの方かも」 案の定、リオンとユキとはぐれてしまった。 このイベントには毎年大きな笹の木が無数に掲げられ、自由に短冊にお願い事を書いてくくりつけるというイベントがある。 ユーリの厚い要望で、ユーリと姫乃と王史は、短冊を飾り付けていた。 「…ねぇひめちゃん、お願い、1つ?」 じっと真剣に姫乃を見つめるユーリの瞳に、思わず くすっと笑いが漏れる。 「ううん!幾つでもいいよ?」 そう言うと、ぱぁっと表情を輝かせ、ユーリはさっそく短冊を受け取りに走った。 「…ユーリちゃん 、可愛いですね♪」 何気なく隣にいる王史にぽつりと言う。 「あいつとリオンは精神年齢10歳」 「ふふっ そんなこと言って、王史くんも短冊にお願い書いてたじゃないですか♪…意外でした。王史くんがこういうの、参加されるの…何て書いたんですか?お願い」 短冊なんてくだらない。と言うかと思っていたのだが、王史の意外な一面に触れて、少し…嬉しい気持ちになる。 隣に立つ王史に視線を向ける。 と、姫乃を見下ろす王史と…視線が重なった。 その瞳は、想像していたものと違って とても、優しくて… … 「…俺がお前のこと、幸せにできますように…」 「… … …」 そんな願い、叶うわけない… 叶うわけがないのに… … 「お前は?何書いた?」 「ぁ…たしは…『もっともっともっともーーーっと強くなれますように!!』…です」 「はぁ?リオンと一緒かよ。お前も強くなって海賊王にでもなるつもり?」 「か?え…??」 隣で愉快そうに笑う王史の笑顔が…好きだ。 この笑顔を、ずっと、見ていたい… 『…俺がお前のこと、幸せにできますように…』 そんな叶うことのない願いが… 叶う未来を、夢見てしまう。 神様。神様、どうか…そんなありえない期待に 打ち勝てる強さを… …下さい。
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