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タイムリミット
今まで、知らなかった。
"すくう"という行為がこれほどまでに…
楽しいということを。
金魚すくいに、ヨーヨーすくい、スーパーボールすくいというものもあり…ついつい、夢中になってしまった。
「持ちきれないから、すくったものは返しないさいよ?」
とユキが呆れたように笑う。
その笑顔がまた…自分の気持ちを上げるのだ。
ヴーヴーヴーヴー・・・
ふいに、リオンのスマホが振動を始める。
液晶を確認すると、王史からの着信。
スマホを確認するリオンを見上げながら、ユキがイタズラに言った。
「社長から?ふふっ 迷子のリオン君、保護者様がお探しですよ~?」
と、同時にユキのスマホも振動を始め、ユキが慌ててバッグからスマホを取り出した。
「あ。こっちも、姫乃からだわ。もう花火の時間だもんね?そろそろ合流した方が…」
姫乃の着信をオンにしようと、スマホの液晶に触れようとした時だった…
すいっとスマホを取り上げられてしまう。
疑問符を浮かべ隣のリオンを見上げると、リオンが相変わらずの綺麗な笑顔を見せる。
そして、ぽつりと言った。
「…まだ、2人がいいんだけど」
「… …社長が、呼んでるんじゃないの?」
リオンの少し大人びた雰囲気に、不覚にもドキッとしてしまった。
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