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ほぼ全財産を失った俺はソファーに腰かけしばらく呆然としていた。
インターホンが鳴る。リサだった。もちろんリサの後ろにはジョニーも付いていた。
「ケイン、大丈夫?突然去っていくし、なんだかいつもと様子が違ったから心配で見に来たのよ」
「ケイン、大丈夫かい?」
全財産を失った俺は怒りを抑えられずジョニーを睨みつけた。
「ジョニー…ぜんぶ、ぜんぶおまえのせいだ!!!」
ジョニーとリサは激高する俺を目の前に動揺していた。
「僕が…?なにを…?」
「どういうこと?何があったの?わかるように説明してちょうだい」
俺はわなわなと握っていた拳を解放してジョニーを指差した。
「おまえのせいで俺は…全財産を失った!!俺にはもう何も残ってない!!俺は…俺は…おまえのよこしたくそまずいマカロニサラダまで食べたっていうのに!!!」
「ケイン、それはっ…!!」
ジョニーが慌てる中、リサが突然ぶわっと泣き出した。
「ひどいわ…!一生懸命作ったのに…!!」
リサは部屋を飛び出してしまった。
俺は何がなんだかわからずに立ち尽くした。
「作った…?どういうことだ?ジョニー、おまえが作ったんじゃないのか?」
「……ごめん…実はあれ、リサが作ったんだ」
「何故リサが作ったものをおまえが持ってくるんだ?」
「リサに頼まれたんだ。ケインとの仲がなかなか進展しないから間をとりもってほしいって。マカロニサラダも自分で渡すのが照れくさいって、僕に頼んできたんだよ」
「そんな…そんな…でもリサはおまえが来た時うっとりした表情で見ていたぞ!俺は知っているんだ!!」
「それも誤解だよケイン。彼女は僕の飼っているインコに見惚れてたんだ。さっきもカフェでずっとインコの話をしてたんだよ、僕たち」
「そ、そんな………じゃあリサは本当に俺のことを……」
「そうだよ、リサは君のことが好きなんだ」
「なんだよ……。……全部俺の…俺の勘違いだったのか………」
すべての力が抜けた俺はへなへなと床に座り込んでしまった。
「ごめんよ、僕が間に入ったばっかりに色々ややこしいことになって」
「いや、悪いのは俺の方だ。本当、誤解していた。どうかしてたよ。俺はてっきりリサがおまえのことを好きだと思ってた。しかもそれだけじゃなく、おまえが俺のことを好きなのかと思ってたよ。そんなわけないよな、男同士だし」
俺が軽く笑ってる横でジョニーはうつむいたままで、俺は気を悪くしたのかと思った。
しばらくするとジョニーは顔をあげ頬を赤らめながらこう言った。
「実は僕も君が好きなんだ」
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