7.妊娠がわかってから

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 そんなニーナと言えば毎晩、アレクサンドラの家から迎えの馬車が来る。  理由は明白。作戦会議という名(半分以上は蜜愛文庫語り)の会合だ。 「さすがに毎晩はやめてください」  と、ニーナはアレクサンドラに訴えたが 「いやよ。ウチに引き抜きたくてしょうがないのにできないんだから、たまのお茶に付き合ってちょうだい」 「たまにの概念がおかしいです。毎晩をたまにと表現するのは全世界探してもアレクサンドラ様しかいらっしゃいませんよ」 「褒め言葉は素直に受け取っておくわ」  素直に受け取るような言葉じゃねえぞ、とニーナは腹の中だけで囁きつつ、出された超高級ケーキと一緒に飲み込んだ。ちなみにニーナが食べたケーキは、1個でニーナの1日分の日給になる。  考えただけでニーナはめまいがした。 「それで、今日はどうなの?」 「同じです。ひたすら推し神様〜推し神様〜と怪しい踊りを踊りながら絵に没頭しております。そちらは」 「ウジウジと部屋の隅の方に、ホコリの邪魔をしているわ」 「ホコリの方が立場は上なんですね……」  アレクサンドラが言っているのは、もちろんエドヴィン王子のこと。  せっかくラブラブ結合を済ませたというのに、自らの正体を明かした途端に「ちがうー!!」と絶叫されて逃亡されたものだから、そのショックは凄まじいものだったらしい。  生来、仕事は真面目なこともあり、公務はしっかりと出ているものの、色々とミスを連発しているらしい。 「背後霊の方が役に立つのではないかしら」  とアレクサンドラが言う程、酷いものだったらしい。 「とりあえず、ここからどうしたらいいかしら」  アレクサンドラが、ほう……と色気あるため息を艶々の真紅の薔薇色をした唇から放つもので、それはニーナでもどきっとした。 「それが気になって、ダーリンとの48手挑戦をする気にならないわ」  必ず下ネタが入るので、そこは原点しているが。 「なんでアレクサンドラ様はそこまでアッチ方面の話ばかりしているのです」 「好きだからに決まってるでしょう。愚問ね」  でしょうね、と心の中で突っ込みつつ、同意も否定もしないと決めたニーナは 「とりあえず、あともう少しで結果が出てくると思うので、その時までは私を招待するのはやめてもらえます?勉強しなくてはいけないことが多いので」 「あら、勉強ならここですればいいじゃない」 「横でおすすめの体位について語られたら、集中どころではないので」 「一体なんの勉強をするの?」  こっちの遠回しのクレームはスルーかい、とニーナがツッコミを入れたところで 「まあ、馬車で読んでたものがありますので……」  と、ポケットから手のひらサイズのメモ帳を取り出した。  そこに書いてある文字をアレクサンドラは美しい声で音読した。 「出産までのABC ……?」
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