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「あんたが万亀くんと二人っきりで会ったり話したり出来ない様にね。
私の狙い通り、あんた今日一日万亀くんと一っ言も話せなかったでしょ」
ふふん、とどこか勝ち誇った様に言ってくる山野葵だけど。
「それはいいんだけど。
でもそれ、私にずっと張り付いてる山野さんも万亀と全然接せれないんじゃない?
それは山野さん的にいいの?」
ごく普通に疑問として聞く──と……。
山野葵が勝ち誇った表情をピキッと凍らせる。
あらら。
どうやらその辺の事は全く考えてなかったみたいね。
そのまま急に黙り込んで難しい顔をして、うううん……と真剣に考え込んでしまう。
その姿を見ていると……。
なんか、意外と可愛いトコあるかも。
そんなふうに思えてきた。
いや、決してバカにしてる訳じゃあないんだけど。
何だか妙にほっこりしながら一人真剣に考え込んでる山野葵の姿を見ていると。
不意に車に、ブレーキがかかった。
一般によくある急ブレーキよりかは柔らかなブレーキだったけど、いつも猪熊さんが信号とかで止まる様な、止まったか止まってないかも分からない様なソフトなブレーキじゃない。
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