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私の顔が山野葵の横にあるのを見つけてパッと目を輝かす。
「おお!やっぱりあの時の車だった!
ルイちゃん!
この辺りに住んでるって情報聞いて駆けつけたよ!
マイ・スイートハニー」
そんな事を、言ってくる。
ま、まいすいーと、はにー……?
いや、もう何か突っ込みどころが多すぎてどこから突っ込めばいいのやら。
ていうか万亀といい山野葵といいこの北ノ条といい、どうして私の家はそう簡単に割れるのよ?
一体どこの誰が教えているのやら。
思いつつ人差し指をおでこにやって思わず眉をしかめ目を閉じる──と。
「ちょっと、人の事ムシしないでくれる?」
怒り混じりに声を上げたのは隣の山野葵だった。
北ノ条はそこで初めて山野葵の存在に気がついた様にちょっと驚いた様な顔をした。
そうしてフッとキザな笑みをして目の前の山野葵に向かう。
「ああ、ごめんよ。
君の事を無視するつもりは、毛頭なかったんだ。
そんなに怒らないで。
だけどすまない、君の気持ちには答えられないよ。
俺はここにいるルイさんにすっかり心を奪われてしまったんだ。
君の気持ちに答えられない俺を許してくれ」
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