8. 波乱

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「ていうか車の前に飛び出すとか正気な訳? ジャマだからそこ離れてくんない?」 もちろん最後の『離れてくんない?』は優しい口調なんかじゃなく、他の人が聞いたら相当嫌な気持ちになる言い方だ。 だけど、う~ん。 北ノ条って人はたぶんそういうの、全く気付けない人なのよね。 結局山野葵の言葉にも「ハッハッハッ」と笑うだけで終わらせてしまった。 うう~ん……。 このままじゃ(らち)が明かなそう。 思い、私は横からひょこっと顔を出して北ノ条と直で話をする事にした。 「……あの、北ノ条くん? 私に何か用? 何もないんだったら、こんな所で車を止めさせてるのも申し訳ないし、もう行きたいんだけど?」 北ノ条なんだからもしかしたら山野葵みたいにツンケンした態度で言ってみてもいいのかもしれないけど、一応はそれなりの礼儀でもって言ってみる。 と、話を聞かない北ノ条は 「おお、ルイちゃん。 北ノ条くんだなんて他人行儀な。 俺の事は伯斗と呼んでくれたまえ」 なんてトンチンカンな答えを返して来る。 おお〜い、こらこら。 人の話を聞きなさいよ、人の話を!
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