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◆◆◆◆◆
次の日。
そんな願いも虚しく──
「る・い・ちゃん♪
おっはよー!迎えに来たわよ」
と家の前まで来て声を上げたのは、万亀や冬馬、それにもちろん猪熊さんですらなく……
「山野さん……」
山野葵その人だった。
くぅぅぅ〜っ!
どうして私に関わる人はこうも皆送り迎えに来ちゃうのかなぁ。
まあそりゃさ、万亀や猪熊さんがリムジンで迎えに来ちゃうより山野葵が普通にお迎えに来る方が千倍目立たないし、その点はいいんだけど。
気疲れ……というかそんなものが半端ない。
と、いうか。
私はハッとして家の門の所から顔だけ出す。
いつも何気に私の送り迎えを(私の要請により、徒歩で)してくれてる猪熊さんが今日も来てくれてるんじゃないかと確認する為、だったけど。
「おはようございます、有馬様」
にこっといつも通りの優しい微笑みで──門前にいた猪熊さんが、挨拶をしてくれる。
「わっ!
ご、ごめんなさい。
いるって分からなくって」
思わず大きな声を出しちゃって、猪熊さんに謝ると、猪熊さんが「いえ、こちらこそ驚かせてしまい申し訳ありません」と返してくれる。
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