8. 波乱

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その苦笑は、万亀がここで待ってるって知ってての苦笑なのか、それとも『そこで待ってたんだ』っていう呆れの苦笑なのか。 「二人とも仲がいいんだね。 一緒に登校?」 「う、うん! 私達、すごく気が合っちゃって。 家もおんなじ方向だし。 ね?瑠衣ちゃん?」 とはもちろん、山野葵。 う〜ん、『すごく気が合っちゃった』かどうかはさて置いて。 山野葵はまぁ、そこまで悪い子じゃなさそうだし、むしろかわいいなぁと思ったりもしてたし。 それに家がおんなじ方向だったっていうのも、これはもちろんウソじゃあない。 だから──私はにこっと笑ってそれに返しておく。 「うん、まぁそうなのよね」 言うと万亀が私の顔を見て「そっか」と返す。 それはほんの一瞬の事、だったんだけど。 その温かな微笑みに、一瞬とくん、と心臓が動く。 「ところで俺も一緒に行ってもいいかな? せっかくここで会ったんだし」 にっこりと爽やかな微笑みに、もちろん山野葵が断る理由なんてない。 むしろ思いっきりのぼせ上がって「もちろん!」と元気に返す。 万亀が「ありがとう」と山野葵に微笑むけど。 私は自分で、自分の事に戸惑った。 とくん? とくんって、何?
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