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◆◆◆◆◆
私と山野葵、万亀と、その少し後ろに控えてついている猪熊さんの姿は──……完全に周囲の注目の的になっていた。
校門まであと五分くらい。
その五分の距離が永遠かと思い違うほどに……。
〜そもそもがよ?
万亀とイケメン執事の猪熊さんが二人揃って歩いてるっていうだけでも、元々相当目立ってるのよ。
逆に私と山野葵なんて、二人で歩いてたって誰の注目も集めないし、万亀と一緒にさえ歩いてなければ何の問題もなかった訳だけど。
今や皆の(というより主に女子達の)視線は確実に山野葵と私の方に向いていた。
それも好奇の目というよりは、完全に──
──敵視の目、なのよね。
何にも言ってこなくっても、彼女達の心が読める。
『何あれ?』
『何で万亀くんと楽しそうに登校してる訳?』
『っていうか有馬瑠衣はいつもの事だけど、万亀くんのすぐ隣歩いてんの誰?』
『あれ山野葵だよ。
有馬瑠衣の事シメてやるとか言っときながら結局自分が万亀くんに近づきたかっただけなんじゃん』
──ってね。
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