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私としてはそれで周りの目からちょっとは逃れられてるし、別に何の問題もないんだけど。
うう〜ん……でもやっぱりなんか、山野葵の事が心配でしょうがないわ。
後で万亀ファンにシメられたりしないといいけど……。
と、悩める私の表情に、もしかしたら気がついたのかもしれない。
万亀が山野葵越しにこっちににこっと笑いかけてくる。
「瑠衣さん、どうかした?」
爽やかな笑顔もそのままに、問いかけてくる。
いやいやいや、どうかしたも何もないわよ。
山野葵もそうだけど、あんたこの周りの視線に気づかないの?
思いつつ、きっと気づいてないんだろうなぁと内心で息をつき『何でもない』と返そうとした私、だったけど。
その、最初の一声が出る前に──
「おお、ルイちゃん!」
正面数メートルの距離、学校の正門前から、ある一つの声が届く。
顔を見るまでもなかった。
正門前でブンブンと大きく私の方に手を振る、この頃ちょっと見慣れた顔──
──北ノ条だ。
げっ……北ノ条、何でここに?
あんた学校はどうしたのよ?
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