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思わず たじ、と半歩後ろに下がる中、北ノ条はそんなの全くお構いなしにこっちまでやって来て私の両手を取る。
キラキラ輝く目が眩しい。
そしてわりかし距離が近い!
「君に会いたくて会いたくてこんな所まで来てしまったよ。
ああ、心配しないでくれたまえ。
今日はうちの学校、創立記念日で休みでね。
決してサボりじゃないから。
いや〜、それにしても今日もかわいいなぁ」
さりげに私の小さな疑問を解決しつつ、一人で色々しゃべっている。
っていうか誰もそんな心配もしてないし、それより何より距離が近い!
私が思わずたじろぎながら再び半歩後ろに下がる──ところで。
私の手を握る北ノ条の手を──というよりその腕を掴んで、ひょいと引き剥がしてくれる人がいた。
──万亀だ。
「おっ、おおっ??」
まさかそんな簡単に引き剥がされるとは思ってなかったんでしょう、北ノ条が目をぱちくりさせたまま引き剥がされた手を見る。
そして万亀が何の前触れもなく無情にもその手を離したんで、北ノ条は半分自分の腕に重みを取られる様にして斜め前へ一、二歩つんのめってしまった。
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