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プロローグ〜♂編〜
__オレには、
『同じ歳』の妹がいる。
同じ歳って言っても、双子でもなければ年子でもない。
でも、兄と妹には違いわない。
なぜならオレたちは……
血の繋がらない兄妹だからだ__。
今日は朝がやたらと騒がしい。
部屋から下りる階段は、アイツの通った後だと、すぐにわかる目印のように、シトラスの香りが漂っている。
リビングに入ると、真っ先にオレの目に映る。
いつもは長いサラサラの髪を靡かせているのに
今日は髪を一つに束ね上げ、キラキラ光るバレッタまで飾っている。
顔は、頬を赤らめて、唇は光沢のあるピンクに色づいている。
「未来、今日どっかでかけんの?誰と?どこに?」
そこまで気合入れて会う奴が、どんな奴なのか気になったのには理由がある。
「あんたには関係ないでしょ」
オレにウザそうに、冷たくそう言い放つこいつは親父の再婚相手の娘、つまりは、新しいオレの母親の連れ子だ。
「関係なくねーだろ、お兄ちゃんが妹の心配をするのは当たり前だろ?」
そう言いながらも、誰とどこに行くのか気になって仕方がない。気づくとオレは冷蔵庫の前に立つ未来の後ろに立っていた。
振り向かずともオレに気づいた未来の反応を見て
オレの欲望は更に駆り立つ。
冷蔵庫のドアに添えられた小さな手を、オレは両手で覆いかぶせる。
「理玖…!近いって!」
オレから目を必死に逸して、顔を赤らめながら嫌がるこいつの名前は、綾瀬未来、オレの義理の妹だ。
不覚にもオレは……、
『血の繋がりのない』この妹を……
愛している事に気づいてしまった__。
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