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プロローグ〜♀編〜
__私には、
『同じ年齢』の兄がいる。
同じ年齢とは言っても、双子ではない。
だからと言って、兄が生まれてすぐに私ができたワケでもない。
だけど、兄と妹に違いはない。
なぜならそれは……
血の繋がりのない兄妹だから__。
「未来、今日どっかでかけんの?誰と?どこに?」
低い声で、私の名前を馴れ馴れしく呼ぶそいつは母の再婚相手の息子、つまりは、新たに私の父になった人の連れ子だ。
「あんたには関係ないでしょ」
キッチンにある冷蔵庫を開けて飲み物を探しながら、私がそいつに、目も合わさず、ふてぶてしくそう答えるのには理由がある。
「関係なくねーだろ、お兄ちゃんが妹の心配するのは当たり前だろ?」
私の真後ろに立ち、私の手と同じところに手を重ね、そいつも冷蔵庫を物色する。
「理玖…!近いって!」
この男は、やたらと距離が近い。
「なぁに意識してんだよ」
薄ら笑いを浮かべながら私をバカにするそいつの名前は、綾瀬理玖、私の義理の兄だ。
不覚にも私は……、
『血の繋がりのない』この兄を……
愛している事に気づいてしまった__。
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