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柔らかな木漏れ日が差す中を俺は歩いていた。
「そろそろ着くはずなんだけど……ここか」
立ち止って目を細めた。
外装を無数のツタと葉で覆い、薄汚れたガラス窓を鈍く光らせる巨大な温室が、切り開かれた森の真ん中に鎮座していた。入口横に、
『ようこそ! カイ植物園へ!』
と書かれた木製看板が風に揺られて軋み音を響かせていた。
「いよいよだ、よし、行くぞ!」
渦巻く期待と不安。複雑な思いを胸に、俺はカイ植物園へと一歩足を踏み入れた。
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