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「目を離したスキにそこらに生えておったナマしいたけを拾い食いして急性食中毒で死におった!こんな調子じゃから正直わしでは手に負えん!そこでおぬしに立てたワケじゃ!」
「白羽の矢を?」
「どうじゃ、ヤな白羽の矢じゃろ!とにかくひでぷみは死にやすい。壁にぶつかっても死ぬ、ビックリしても死ぬ、ホント些細な事ですぐ死んじゃう!じゃが安心せい、ひと呼吸あればたちまち復活じゃ!逆に言うと、どんなに凄惨な死に方をしたとしても平気な顔してケロリと復活する!たかゆきよ、このひでぷみを連れて冒険に出発してほしいんじゃ!」
「お断りします!」
「お断りも何もこの《ワールド》の命運がかかっておるんじゃ!出発は命令じゃ!」
「冒険のおともには他に適任がいるでしょうに。なんで私なんですか!そもそも私、《中けんじゃ》と呼ばれるものの、ただの町人ですよ」
「それはわしが一番よくわかっておる!どうせひでぷみは攻撃力以外のステータスは全部足して2しかない。回復、補助、蘇生魔法その他掛けたって何度でもすぐ死んでは勝手に蘇る。なーんの意味もない!だったら魔法より知恵を使ったほうがよい。町で知恵者と名高く、《中けんじゃ》とあだ名されるおぬしを選んだのはそういうわけじゃ!ちなみに、ほかの冒険者たちに任せてみた。がしかしひでぷみを持て余して挫折して帰ってきよったんじゃ。行ってきますと笑顔で出発して、やっぱり無理でしたと泣いて帰ってきたんじゃ」
勇者ひでぷみは呵々大笑した。
「みんなすぐ帰っちゃうんだもん、びっくりしちゃった」
「笑いごとじゃないわい!まったくいいかたかゆき、要するにじゃ、引き受け手はおぬししかおらんのじゃ!時代はチートの横行するなろう系でも、剣と魔法で冒険するゴリゴリの正統派ファンタジーでもない!知恵じゃ!リアルただの人であるおぬしが持つ知恵でこの《ワールド》を人気溢れるせかいにするのじゃ!」
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