プロローグ

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プロローグ

 キャーッ! 薄暗いダンジョンの奥から耳を(つんざ)く悲鳴が響き渡った。 「もうイヤだあーッ、平和な村に帰りたいーッ」  賢者ふうの身なりをした男が、地面にへたり込みながら杖をブンブン振り回して駄々をこねている。 「まるでおふろをのぞかれた女の子みたいなひめいだったね」と言うのはそばに立つ屈強な若者。おおきな剣と盾を装備した彼は、2mはあろうかという筋骨隆々の身体を揺らし、はっはっは、と豪快に笑う。 「だいのおとながみっともないな?」 「私の心労も考えてくださいよお! このダンジョンに入ってから私、何度窮地に立たされたことか!」 《中けんじゃ》のたかゆきの脳裏を、大小とりどりのピンチの数々が駆け巡る。たかゆきは考える。トホホ、《勇者ひでぷみ》との冒険は大変だと覚悟していたけれど、まさかこれほどだったとは。たかゆきはおもわず頭を抱えた。 「それもこれも、あなたが頼りないからですよッ」  それでも勇者ですか、ひでぷみさん! たかゆきに罵られてひでぷみは笑った。 「でもタイミングはいけてた。ゆうしゃとして」
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