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突如モンスターの咆哮がダンジョンに轟いた。すぐそばまで来ているらしく、地鳴りのような咆哮にたかゆきは内股で身震いする。
「あのうなり声は《ヤンキー証券マン》だ……。今の私のレベルじゃ到底太刀打ちできない! もうだめだあ」
「はっはっは! あんしんするがいい。このわたしがついている」
「だから安心できないんでしょッ」
「おおぶねにのったつもりでいるがいい」とひでぷみ、自分の胸を叩く。たかゆきは言った。
「あんたひとの話聞いてました?」
迫る《ヤンキー証券マン》。怯えるたかゆきは考える。いやいや今回こそ大丈夫だ、問題のひでぷみさんはそばに居る。ちゃんと生きてる。さすがになにもないところで勝手に死ぬわけがない。
ところが返事がない。
「まさか……」
ひでぷみは安らかな顔して死んでいた。
「うそ! また死んだの? なんで?」
たかゆきはハッとした。
「まさか、さっき自分で胸を叩いたとき?」
たかゆきは思わず手で両目を覆った。「あれだけ注意してねっていったのに!」
たかゆきは叫ぶ。
「こんな調子じゃ、塔の最上階に行くなんて、無理だよお!」
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