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「お前なんかに、僕がわかるものか」
今日はじめて本音を聞いた気がした。
「初回ですし、今日はこのくらいにしておきましょうか」
堀くんが声をかけてくるまで、私は万堂の顔を見つめていた。
吸い込まれたみたいに、バカみたいに見つめ続けた。
万堂は椅子から立ち上がらされ、チッと舌打ちをしている間に素早く逃走防止の紐を結び付けられて、どこかへ連行されていった。
彼もまた最後まで恨みがましく、私のことを睨み続けていた。
ねっとりと絡みつくのに、まっすぐに射貫く視線。
暗闇に燃える蛇のような目玉で。
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