60人が本棚に入れています
本棚に追加
/354ページ
「イケメン無罪、ねえ」
確かに奇麗な顔立ちだったけれど、いざ特徴を尋ねられたらなんと答えるだろうと考えた。
蛇みたいな顔。
それしか印象が残らないのだ。
目の前からいなくなったとたん、思い出せないわけじゃないのに印象があやふやに色あせてしまう。
似顔絵なんかには描きづらい顔。
たとえば今すぐに私と堀くんでモンタージュ写真を作成したら、全然本人に似ていない顔ができてしまいそうだ。
私の顔色から堀くんが何を読み違えたのか、口を尖らせて何か言う。
「あっ、庵野さん今、俺だったら絶対有罪、とか思ってんじゃないでしょうね? 俺だってね、昔はかわいかったんですよ? あいつには可愛げはないでしょうが。ちょっと離れ目だったし。俺なんか小さい頃、知らないお姉さんからぷにぷにしてかわいい、抱っこしてもいいかな、なんて言われて……」
「うん、その話もう聞き飽きたから。堀さんのモテ期は幼稚園で終了したんでしょ?」
「ひっど! 庵野さん、ほんとひっど! こうなったら俺、すげえキレイな嫁さんつかまえますから、ご祝儀はずんでくださいよ、マジ」
最初のコメントを投稿しよう!