一、ハバネラ(恋は野の鳥)

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「イケメン無罪、ねえ」  確かに奇麗な顔立ちだったけれど、いざ特徴を尋ねられたらなんと答えるだろうと考えた。  蛇みたいな顔。  それしか印象が残らないのだ。  目の前からいなくなったとたん、思い出せないわけじゃないのに印象があやふやに色あせてしまう。  似顔絵なんかには描きづらい顔。  たとえば今すぐに私と堀くんでモンタージュ写真を作成したら、全然本人に似ていない顔ができてしまいそうだ。  私の顔色から堀くんが何を読み違えたのか、口を尖らせて何か言う。 「あっ、庵野さん今、俺だったら絶対有罪、とか思ってんじゃないでしょうね? 俺だってね、昔はかわいかったんですよ? あいつには可愛げはないでしょうが。ちょっと離れ目だったし。俺なんか小さい頃、知らないお姉さんからぷにぷにしてかわいい、抱っこしてもいいかな、なんて言われて……」 「うん、その話もう聞き飽きたから。堀さんのモテ期は幼稚園で終了したんでしょ?」 「ひっど! 庵野さん、ほんとひっど! こうなったら俺、すげえキレイな嫁さんつかまえますから、ご祝儀はずんでくださいよ、マジ」
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